カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の計算方法は?

このたび私の修士論文の成果のすべてを当ホームページに掲載した。ここではそのまとめとして、二酸化炭素排出量はそもそもどのように計算されているのかということについて紹介させていただく。

多地域間産業連関分析という手法

二酸化炭素排出量は、産業連関分析という手法を用いて計算される。産業連関分析の詳しい説明は『産業連関表 報告書(-総合解説編-)』に譲るが、簡単に言えば、経済波及効果を計算するモデルである。

例えば、電気自動車に対する需要が生じると、その需要に対応するために電気自転車の生産が必要となり、部品であるコンピューターの購入が行われる。さらに、コンピューターに対する需要が発生することで、今度は半導体に対する需要が生じることになる。このような“経済波及効果”を計算できるのが産業連関分析であり、これを環境問題に応用すると、それぞれの段階で排出される二酸化炭素を求めることができるのだ。

2010年代に入り、一国の産業連関表のみならず、より多くの地域を包括した産業連関表が作成されるようになった。これを、多地域間産業連関表という。私が研究で使用したEXIOBASE 3の場合、44の国と5の地域が含まれており、実質世界全体をカバーしている。多地域間産業連関表を用いた多地域間産業連関分析は、一国の産業連関分析と同じ仕組みである。

つまり、日本の最終需要を多地域間産業連関表に与えてやると、世界中の経済波及効果及びそれぞれの段階で排出される二酸化炭素を求めることができるのだ。先ほどの例を用いて、日本で生産される電気自動車に需要が生じたとする。すると、電気自動車の部品となるアメリカ製のコンピューターに需要が生じる。今度は、そのコンピューターの部品となる台湾製の半導体に需要が発生する。

多地域間産業連関表分析では、このように国境を越えた経済波及効果を計算できる。また、電気自動車を作る過程で日本で排出される二酸化炭素のほかに、コンピューターを作る過程でアメリカで排出される二酸化炭素、及び、半導体を作る過程で台湾で排出される二酸化炭素も計算できるのだ。

まとめ

以上をまとめれば、多地域間産業連関表分析を用いると、我々が消費するモノやサービスの生産の過程で排出される二酸化炭素(カーボン・フットプリント)を計算できるということになる。経済のグローバル化が進み、今や我々日本人が消費するモノやサービスは世界中で生産されている。当然、二酸化炭素排出も世界中で行われている。これらを把握する必要性が高まっており、多地域間産業連関表分析にも注目が集まっている。