日本の二酸化炭素排出量の推定と輸入に内包された二酸化炭素の分析 3

日本の輸入に内包された温室効果ガス排出量(2011年)

使用したモデル

本論文で使用されるモデルは、Wood and Palm (2016)にしたがっているので、ここでは詳細な違いだけを説明する1。違いは総輸入ベクトルと国産品投入係数行列の2つである。

総輸入ベクトルは、Wood and Palm (2016)では、国内の貿易データから計算することになっている。しかし、本論文では、多地域間産業連関表から総輸入ベクトルを計算し使用した。これにより、排出係数行列、レオンチェフ逆行列、及び総輸入ベクトルの次元が一致し、行列の次元を揃える操作が必要なくなる。

一方、国産品投入係数行列については、Wood and Palm (2016)では、非競争輸入型を仮定しているが、日本の産業連関表は競争輸入型なので、輸入係数行列を用いた操作が必要になる。こちらについては、『産業連関表 報告書(-総合解説編-)』のP116を参照されたい。

使用したデータ

本論文では3つの異なるデータセットを利用している。国内での排出量の計算には、総務省他が作成する日本の産業連関表と、国立環境研究所が作成する環境負荷原単位データブックを利用している2。一方、輸入に内包される二酸化炭素排出量の計算には、多地域間産業連関表EXIOBASE 3を利用している3

計算の対象年次は1995, 2000, 2005, 2011年の4年だが、これは日本の産業連関表が作成される年に合わせている。EXIOBASE 3は、産業部門ベースの多地域間産業連関表と商品部門ベースの多地域間産業連関表の2つを作成しているが、日本の産業連関表に合わせて商品部門ベースの多地域間産業連関表を利用した。

生産ベースの基準の下では、投資に関わる二酸化炭素排出量は、資本を生み出した部門に帰されるのが望ましい。一方で、消費ベースの基準の下では、投資に関わる二酸化炭素排出量は、その資本を利用する部門に帰されるのが望ましい。なぜなら、投資された資本の一部は輸出品の生産に用いられるからである4

しかし、多くの研究では適切な配分は実現していない。これが消費ベースの二酸化炭素排出量の計算において誤差を生むことになる。本論文では先行研究と同じように、投資については最終消費とともに最終需要ベクトルに含められている4

最後に、国内での二酸化炭素排出量と輸入に内包される二酸化炭素排出量の一貫性を保証するために、推計にはエネルギー起源の二酸化炭素排出のみを含んでいる。本来は、非エネルギー起源の二酸化炭素排出を考慮するべきではあるが、日本の場合は大部分がエネルギー起源のものなので、研究の有意性を大きく損なう類のものではないことに注意されたい5

参考文献

本稿は、当ブログの運営者が2021年に提出した修士論文を和訳、一部訂正を加えたものです。詳しい情報をお求めの方は“お問い合せ”よりご連絡ください。