あらすじ
日本は憲法で戦争を放棄した世界唯一の国だ――。日本人の多くは漠然とそう信じているが、これは戦後の憲法学者たちが日本国憲法を捻じ曲げて解釈した「虚構」に過ぎない。憲法が制定された文脈と、国際法の常識に照らし合わせた時、本当は「国際主義的」な日本国憲法の真の姿が明らかとなる。東大法学部を頂点とする「ガラパゴス憲法学」の病理を、平和構築を専門とする国際政治学者が徹底解剖する
感想
このブログを訪れている多くの皆様が「自衛隊が違憲などというのは、いつも通り政治イデオロギーに頭を支配された東大辺りの大学教員の仕業に違いない」と、良識でもって判断しているだろう。その通りなのだ。
国際法をガン無視し、アクロバティックに日本国憲法を解釈してきた「憲法学通説」なるものを論破している。一番の感想は、「日本国憲法は素直に読めば何を言いたいのかは分かるのではないか」である。
備忘録
9条が自衛権を放棄したと言いながら、その後に個別的自衛権だけは違憲にならないなどと付け加える自衛権の「留保」論は、ロマン主義的な国家論を徹底させたものである。自己保存を図る自然権的な権利があるので、自らを守る自衛権だけは放棄されない、憲法が何を言おうとも国家の自然権、つまり自己保存の基本権としての自衛権は放棄されない、といった話は、19世紀ドイツ国法学に影響され続けている 日本の憲法学に特有なものだ。
憲法学者が自衛隊を違憲だと言っているという事実に、自然権の概念でもって批判を加えるのは彼らと同じ間違った土俵で争うことになるので注意が必要である。保守を自認しながらこんな間違いを犯していたのは私だけであろうか。
結び
自主独立のためには、防衛費の増額は急務だし、憲法の改正も必要なのだろうが、まずは憲法解釈の見直しではないだろうか。
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