谷田川惣『皇統断絶計画―女性宮家創設の真実』を読んで

あらすじ

「皇室が危ない!」「女性宮家創設」に隠された皇統断絶策動で日本と皇室の伝統は破壊される。今、誰もが読むべき、誰でも理解できる日本国民必読の書。

感想

改めて皇統を守るのは難しいことであると感じた。正統はあっても正解があるわけではないので、皇統について理解を深めることが、皇統を守る唯一の方法だろう。

備忘録

君民一体の日本の皇室と、君民対立の西洋の王室の違いを確認するのに象徴的な存在が、その住まいとなります。王室と民が利害対立関係となる西洋の王室の宮殿は、ものすごく壮健なつくりで、頑丈な城壁が周囲に張り巡らされています。一方、千年の都である京都の御所の周囲は、人間が簡単に乗り越えられような土壁一枚で仕切られているだけでした。大名の城には石垣がありますが、御所には壁が一枚だけ。そこに攻め込むものなど誰もいないということが大前提だったのです。これが世界で唯一となる天皇と民が一体となっている姿なのです。

我が国の皇室が尊いのは君民一体だからである。世界は日本の皇統を断絶させたら大幅に多様性を失うことになるであろう。

日本というのは地名ではありません。(中略)代々天皇が治らす国を、のちに日本と名付けられることになったのです。つまり日本というのはいわゆる王朝の名前であり、国体の名前となります。

ここで言う国体とは文化的な国のかたちとでも言うものである。敗戦後、大日本帝国は終わったではないかと言う人があるが、それは政治的な国体であってつまらない議論である。

はじめに国という枠組みがあって、そのなかに王室があるという考え方は、西洋的な国民国家の発想となります。だから西洋では王室が打倒されることになるのです。まず国の枠組みが最初にあって、王室があるという発想では、王家がなくなっても依然として枠組みである国は存続するということになるからです。

日本の場合は、天皇があって日本があると考えるので、天皇のいない日本は、もはや日本と呼ぶことはできません。枠組みだけが残っても、それは日本とはいえないのです。なぜなら日本は代々天皇の治らす国だからです。

これはとても本質的なことでは無いかと思う。日本という国は皇室の存在無くしては続かないのである。

男系男子だけが継承する方法か、男子も女子も継承する方法か、ということであれば、唯物論的には一より二の方が大きいという単純な思考回路になるでしょう。しかし、本当に唯物論的に目に見えることだけが確かなことなのでしょうか。二千年以上、薄氷をふむ思いで男系による継承を続けてきたことは、その中には目に見えない様々な効果が生じていると考える必要があると思います。

これが最も大切なことである。皇統が危ないとなると安易に女系に話が及ぶが、なぜ祖先は危機に際しても男系継承を守ったのかを我々は考えなければならない。

結び

幸いなことに皇統はほとんどの日本人に受け入れられている。ならば無知が伝統を破壊しないように、我々は皇統について理解を深めるのみである。