内藤陽介『みんな大好き陰謀論』を読んで

あらすじ

さまざまな陰謀論に取り込まれないよう免疫をつけ、リテラシーを向上させよう。ブレグジットとトランプ政権の親イスラエル政策、FRBとユダヤ系資本との歴史的関係、マルクス(主義)とユダヤ人の関係などについて解説する。

感想

私は以前から林千勝氏や馬渕睦夫氏の言論を主にネットメディア「チャンネル桜」で聴いて来た。彼らの言論は国際金融資本の存在を中心に政治や歴史を見る新しい視座を与えてくれるので非常に面白い。

一方、最近、林千勝著『日米戦争を策謀したのは誰だ!―ロックフェラー、ルーズベルト、近衛文麿そしてフーバーは』や馬渕睦夫著『知ってはいけない現代史の正体 グローバリストに歪められた「偽りの歴史」を暴く』を読んだ。

そもそも彼らの言論を頭から信じて止まなかったわけではないのだが、前者はどうも説得力に欠けるし、後者は紙幅の制限もあるだろうが、根拠に欠け、いささか現実から乖離しているように感じた。

さらに、フリードリヒ・ハイエク著『隷属への道』やミルトン・フリードマン著『資本主義と自由』を読んで以降、国際金融資本を語る彼らに共通する、反グローバリズム、国家社会主義的思想に決定的な違和感を感じた。

そんな中、先日発売されたのが内藤陽介氏の本書である。内容は、以上の様なユダヤ人暗躍の筋書き(陰謀論)に反論するという物である。とは言っても、悪魔の証明は出来ないので、歴史を解説することによって論破を試みている。

悪魔の証明

ある事実・現象が「全く無い」というような、無いを証明する事が非常に困難な命題を証明する事。

また、それぞれのテーマの中で、陰謀論になった原因(例えば、「ユダヤ人が関わっていた」という事実が、「ユダヤ人の策略だった」というような陰謀論に拡大した可能性)に言及されているのが面白い。

結び

本書で氏はユダヤ人の国際金融資本家の影響力の全てを否定しているわけではない。確かに銀行家として大きな影響力を持った人がいることは事実であるからだ。しかし、彼らが世界を支配しているというのは、さすがに無理筋な主張ではないだろうか。

先日、本書の著者である内藤陽介先生が、ツイッターでこのブログのことを紹介してくださいました。ブロガー冥利に尽きる出来事であり、これほど嬉しいことはありません。