森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』を読んで

あらすじ

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。

感想

爽快である。本作は森見登美彦氏の傑作「腐れ大学生シリーズ」の中の一作なのだが、もう一人の主人公である麗しき黒髪の乙女と場面が交互に繰り返されるので、なんとも爽やかな作品なのである。

本作品は映画化されており、これがまた最高傑作なので、本書を読み終えた暁には是非そちらを御覧頂きたい。物語は少し違うのだが、あらすじと世界観、何よりも森見ワールドがしっかりと引き継がれている。

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名言(迷言)

「所詮は夢だろ」と水を差す野暮な人は犬に喰われるがよい。夢か現実か、それは本質的な問題ではない。たしかに私の才能の宝箱は払底気味であった、だがしかし、唯一残されていた最大の能力を私は忘れていたのだ-妄想と現実をごっちゃにするという才能を!

この言葉に多いに賛同してしまいそうになるが、よくよく考えてみると、主人公は麗しき黒髪の乙女と結ばれるため、季節を超え京都を縦横無尽に駆け回り、現実世界で不毛な努力しているのである。

結び

私は大学の4年間を京都市上京区で過ごしたにも関わらず、部活もサークルも入らずただひたすら惰眠を貪っていたら、あっという間に時が経ち卒業を迎えてしまった。もしあなたが京都で大学生活を送る幸運な男なら、書を捨て街へ出て意中の黒髪の乙女を追いかけ回すことくらいしなければならない。