馬淵睦夫『知ってはいけない現代史の正体 グローバリストに歪められた「偽りの歴史」を暴く 』を読んで

あらすじ

「誰が戦争を望み、利を得てきたか」そこから、本当の歴史が見えてくる。ディープステートつまり世界の真の支配者の原点は、ある勢力がある時期、アメリカの重要な部分を牛耳ったことにあります。アメリカの重要な部分とはつまり、「金融」と「司法」と「メディア」です。ある勢力がまず「金融」を牛耳って、ディープステートが基盤を固めたその発端は、20世紀初頭、100年ほど前に遡ります。

感想

私は国際金融資本の全てを陰謀論だとは考えない。なぜなら、彼らの影響力は公開情報から証明されている事実だからである。しかし、この本に書いてあることはいささか怪しいと感じた。

備忘録

ソ連をより強国として仕立て、ソ連を中心とする共産主義の脅威を煽って西側諸国の世論を固め、軍拡を推進して軍産複合体の利益を図ることが当時のアメリカの目論みである。

基本的に国際金融資本はこの構図で語られる。すなわち、自分たちの利益の確保を目指して、対立を煽り、商売の機会を作り出すというものである。ちなみにここでいうアメリカは言うまでもなく、ロックフェラーである。

日本が占領下にあった1951年、在京のイギリス大使館が本国に「対日平和条約において、日本に千島列島を放棄させるが、この放棄させる千島列島の範囲を曖昧にしておけば、この範囲をめぐって日本とソ連は永遠に争うことになり、これは西側連合国にとって利益となるであろう」と極秘電報で報告していることが、元駐ロシア大使の丹波實氏の著書『日露外交秘史』(中央公論社 2004年)に紹介されています。

これは英国によって世間に出た公開情報である。他にも竹島や尖閣諸島など、現在日本が抱える領土問題の種を西側諸国が仕込んでいた事は事実であるようだ。このことともう一つ、記憶に留めておきたいことがある。

多文化共生とは、一つの国家の中で多文化(様々な人種や民族的背景を持った人々)が共生することではなく、各々の国家(人種や民族から成る)がそれぞれの文化的特性を発揮して、互いに協力、共存することであるべきなのです。

結び

既に見たように、紛争を自作自演するのも常套手段でした。東西冷戦の終了後も、自らが裏で演出した戦争・紛争を利用し、「グローバリズムは正義である」との大義名分の下に、“世界中から利益を収奪するためのグローバル市場経済システム”をつくりあげてきたのがアメリカです。

この一文には、新自由主義への憎悪がよく現れている。他にも、国際金融資本に言及する人は概して反自由主義、反グローバリズム、つまり社会主義者が多い。これが、彼らの言論を不可解なものにしている印象である。