あらすじ
コロナショック、BLM、中国共産党に対する米国の意思は?トランプは政権を維持できるか?民主党圧勝(トリプルブルー)で終わるか?超大国アメリカの意思決定過程を正しく理解することで世界はどう動き、日本は何に備えるべきかがわかる!
感想
2020年度のアメリカ大統領選挙は大きく荒れ、この記事を執筆している現在もトランプ大統領の抵抗は続いている。日本の保守言論界でも、冷静さを欠いていると言わざるを得ない言論が散見されている。
そんな中、一貫して冷静な分析を与え続けている渡瀬裕哉氏のアメリカ政治の見方が詰まった一冊と言えるだろう。
当然この本に書いてあるのは具体的な実践の方法では無いので、我々が著者のような分析を真似することは出来ない。しかし、我々も日々、情報を収集する必要がある中で、どのような情報発信をしている人が信頼に足るのかを見極める基準にはなると思う。
備忘録
およそ政治家は誰であっても。その政治家を支える「支持勢力の意向」を無視できない。(中略)そして、厳密な三権分立体制による制約がある、米国大統領は選挙・政局の動向によって意思決定が厳しく左右される傾向がある。
これが著者の主張の根幹である。著者は、支持勢力を詳細に分析することで、選挙の予測を的中させて来たのだ。
米国の対外政策は、外交・安全保障上の戦略だけでなく、それを支える人事や世論喚起を必ず伴う形になっている。
特に中国のような経済大国を相手にする場合、そのハードルは生半可なものではなく、一つ一つ手順を踏んだ取り組みと強固な民意による裏付けが重要になる。
逆に言えば、外交・安全保障政策上は、合理的に見える政策転換であっても、それを支える民意が失われた場合、その政策は簡単に覆る可能性があるということもできるだろう。
つまり、米国では内政だけではなく外交にも支持勢力の同意が求められているのである。この事実が、バイデン次期大統領政権の外交を不安定にする可能性があると著者は主張する。
結び
本書の中で著者は、以上の様な現実を踏まえた上で日本に必要な四つの研究センターと近代政党の創設について言及している。渡瀬氏は救国シンクタンク他、さまざまな組織に参加しており活動の幅を広げている。いま一番注目の専門家である。