気候変動対策と自由主義の両立を

環境保護は大切だけど……

環境保護で自由の破壊!?

私は経済学研究科で気候変動問題について研究しているので、少なからず環境問題に関心を持っている。しかし最近、環境問題そのもの以上に、環境問題に取り組む中で我が国が向かうことになるであろう未来に不安を感じざるを得ない。

みなさまは環境対策と言われて、どのような政策が頭に浮かぶだろうか。多くは、環境税や環境規制といったものであろう。つい先日、レジ袋の有料化(課税)が実現したことは記憶に新しい。

これらは国民生活にも直接関わるものであるが、「地球環境のためならば」と多くの人が納得していることだろう。しかし、本当に納得して良いだろうか。我が国は、「政治権力の恣意的な介入や強制なしに諸個人の活動が行われる」1自由主義国家である。

先日施行されたレジ袋への課税は、「問題意識を持って一人ひとりが始められる行動につなげてもらいたい」2という理由で省令によって施行されたが、本来、自由主義国家では、政治権力の恣意的な介入や強制は極めて慎重に行われなければならない。

また、近年、「適切に設計された環境規制は、費用低減・品質向上につながる技術革新を刺激し、その結果国内企業は国際市場において競争上の優位を獲得し、他方で産業の生産性も向上する可能性がある」3という主張が注目を集めており、環境分野における政治権力の恣意的な介入が今後増えて行くことが予測される。

環境保護のあるべき姿

では、我々はどのようにして環境を保護していくのが望ましいのだろうか。自由主義の観点から言えば、それは減税と規制緩和である。例えば、現在タクシー業界を保護するために作られている規制を廃止してみたらどうだろうか。

タクシー業界は間違いなく崩壊するだろうが、そもそも規制によって守られていたのだから問題無い。Uber(ウーバー)などに代表されるカーシェアリングは、自動車の保有台数や無駄な乗車を減らし、二酸化炭素排出量を減らすだろう。

また、ESG投資(環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資)からの配当に課される税金を減らしてみたらどうだろうか。高い所得税がかからないならと、多くの資金が環境技術を扱う企業に流れるだろう。

これに関してはトランプ政権下の米国で行われた、オポチュニティ・ゾーンが参考になる。オポチュニティ・ゾーンとは、米国内の低所得地域への長期的投資を促す目的で作られた制度で、「投資家が資産売却で得たキャピタルゲインを低所得者地域の中から指定された「適格オポチュニティゾーン」に再投資する場合、税制上の優遇を与える制度」4である。

以上のように、我々の自由を拡大する方向で環境を保護することは可能である。多くの方は意識しないであろうが、日本では、政治的自由がほとんど認められている一方で、経済的自由が大きく侵害されている現状がある。

たとえ環境保護のためであっても、ただでさえ少ない経済的自由が奪われることがあっては決してならない。真に持続可能な社会を作るためには、自由を守ることにも目を向ける必要がある。

参考文献