江崎道朗『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』を読んで

あらすじ

わが国に真の自由を取り戻せ。外国や官僚に依存する戦後体制をいつまで続けるのか。国際情勢と戦後史をふまえながら、日本再建の道を示す渾身の一書!

感想

本書は、全部で20のテーマが扱われている。これらは過去に著者が雑誌などに寄稿してきた論文に加筆修正を加えたものである。テーマのバランスが非常に良く、今までテレビでニュースを観ていた方の情報の偏向を、一気に取り去ってくれる。

中でも、サブタイトルにもある通り、安全保障に関する論文が特に印象的だった。さらに詳しいことが知りたくなった場合は、江崎道朗氏の他の著作を読んでいただくのが良い。

備忘録

アメリカの保守自由主義者たちは、政府による福祉などに依存せずに、また、政府の規制に過度に干渉されることなく、独立した個人として自分のことを決定できる自由を「フリーダム」と呼んでいるのです。

政府による社会保障を拡充することは増税につながり、個人の財産権、ひいては国民の自由を侵害することになる。一方で、逆に政府による規制が少なくなり、税金が安くなれば、それだけ、国民の「フリーダム」は強まり、国民の経済は活発になり、豊かな国民が増え、結果的に国家の基盤を強くすることになると考えているわけです。

これこそがフリードリヒ・ ハイエクの主張する自由主義であり、今の日本にとってもっとも大切なものである。政治に全く興味がない方にとっては少し難しく感じるかもしれないが、論文に関しては抽象的な政治哲学は一切出て来ないので安心して頂きたい。

恐らく海上自衛隊の護衛艦などが戦闘状態に入ったとして、戦い続けることができるのはせいぜい十数分だろう。自衛隊の基地が相手から攻撃を受けずに戦い続けられたとしても一ヶ月持つかどうか

本書の中で一番衝撃を受けた一節である。これが今の日本の現実なのである。我々は、迫り来る侵略の脅威を認識し、戦争をしないための準備(防衛費の増額や憲法改正)を整えなければならない。

結び

私は今までこのブログで多くの本を紹介してきたが、本書はダントツで読んで頂きたい一冊である。政治イデオロギーに関わらず、とりあえず手に取ってみては頂けないだろうか。

国家の命運と国民の人生は、時に直結します。(中略)国際情勢と政治に無関心であることは、自己と家族の命運に無関心であることと同義であることを、是非とも理解してもらいといと思います。