森見登美彦『四畳半タイムマシンブルース』を読んで

あらすじ

水没したクーラーのリモコンを求めて昨日へGO! タイムトラベラーの自覚に欠ける悪友が勝手に過去を改変して世界は消滅の危機を迎える。そして、ひそかに想いを寄せる彼女がひた隠しにする秘密……。
森見登美彦の初期代表作のひとつでアニメ版にもファンが多い『四畳半神話大系』。ヨーロッパ企画の代表であり、アニメ版『四畳半神話大系』『夜は短し歩けよ乙女』『ペンギン・ハイウェイ』の脚本を担当した上田誠の舞台作品『サマータイムマシン・ブルース』。互いに信頼をよせる盟友たちの代表作がひとつになった、熱いコラボレーションが実現!

感想

面白い!言うまでもなく森見登美彦氏の「腐れ大学生シリーズ」はこの世で最も面白いフィクションなのだが、今回は脚本が本当に面白い。森見ワールドとも称される独特の世界観に、上田誠氏の『サマータイムマシン・ブルース』が融合することで、腐れ大学生の不毛な日常を超えた、壮大な作品になっている。

ちなみに前作は森見登美彦氏二作目の作品、『四畳半神話大系』である。こちらはファンタジーよりも不毛な大学生活が濃い一作だが、歴史に残る名作なので是非。

『四畳半神話大系』はこちら

迷言(名言)

「自分が死んでたりするとキツイよね、さすがに」

そんな未来を知ってしまえば、人生に対する意欲を失うことは必定である。学業に身が入らなくなって留年しかるのち退学。刻々と迫るタイムリミットの恐怖から逃れるために部屋に籠って暴飲暴食を重ね、その自堕落な生活と精神的ストレスによって健康を損なった結果、十年後にピタリと死んで帳尻が合うということになりかねない。

森見ワールドとタイムマシンのコラボレーションをこの目で確認したと実感するような一文である。森見登美彦氏は本当の天才である。

たとえばこんな四畳半アパートの一室にひとりで籠っているとしよう。こんなところにどんな可能性がある?ここには恋も冒険もない。なーんにもない。昨日は今日と同じで、今日は明日と同じ。まるで味のしないハンペンのような毎日ですよ。それで生きていると言えますか?

結び

本作品は『四畳半神話大系』の続編(?)という位置付けだが、こちらを先に読んでも十分に楽しめる。今年一番話題の傑作を是非。