イカキング経済効果算出の論理的過誤

イカキングをご存知だろうか。新型コロナ給付金2,695万円を使い建設された滑稽なモニュメントが賛否両論を巻き起こしたことを記憶している方も多いだろう。そんな中、2022年8月22日に⽯川県能登町役場ふるさと振興課と経済効果算出アドバイザー⽩尾敏朗氏がイカキングの経済効果を発表した。

調査では、イカキングの建設には約6億円の経済効果があったとしているが、今回発表された経済効果の算出でも用いられている産業連関分析で修士号を修得したものとして今回のリリースを見てみたところ、そこには大きな論理的過誤があった。今回はこの論理的過誤について論じたいと思う。

設定の誤り

結論から申し上げると今回の調査の論理的過誤は、条件の設定にある。実際に計算を始める前段階に問題があるのだ。ちなみに、経済効果の算出に使われたモデルは妥当と言っていいだろう。

本調査では、経済効果を①イカキング建設⾃体の経済効果と、②イカキングが貢献した観光需要増の経済効果としている。前者については比較的精度が高い結果が得られていると考える。問題は後者である。

本調査では、イカキングが貢献した観光需要増の経済効果を、イカキングを目的につくモールに来場した人の、つくモールでの⽀出を含めた石川県内での⽀出の合計としている。これは問題である。

※イカキングが設置されている商業施設

すなわち、石川県内全域の経済効果を指標として選択するならば、イカキングを目的に石川県を訪れた人の支出額を計算しなければいけないのであって、イカキングを目的につくモールに来場した人の支出額を計算するのは間違いである。要するに、ディメンション(分析の切り口)と指標のスコープが一致していないのだ。

この結果、経済効果が上振れて計算されていることは明らかである。データがないため私が計算することは難しいが、おそらく100分の1程度になるのではないかと考えられる。

参考文献