なぜ、環境活動家(ヴィーガン)は事実を読み違えるのか

当ブログでは、これまで3回にわたり、ライフサイクルアセスメントを用いて、ヴィーガンが環境問題の解決には繋がらないということを証明してきた。今回は、これらを総括するとともに、なぜ、環境活動家(ヴィーガン)は事実を読み違えてしまうのか考えていきたい。

畜産業のカーボンフットプリントは5.1%

図1 世界全体の温室効果ガス排出量(100万トン)

以前紹介した研究と同じように、多地域間産業連関分析とEXIOBASE 3のデータを用いた推計によると、世界全体の温室効果ガス排出量の内、食肉が占めるのは5.1%である。

日本の場合はわずか2.0%

図2 我が国のカーボン・フットプリント(100万トン)

一方で、『日本人がヴィーガンを取り入れても温室効果ガスは2%も減らない』で紹介した通り、日本のカーボンフットプリントにおける食肉の割合は2.0%である。日本は経済的な先進国であり、そもそも食費への出費が低いことが原因であることは言うまでもない。

常識的な未来予測

では、未来はどうなるだろうか。あなたの常識で考えてみていただきたい。発展途上国が経済成長すれば、日本と同じような消費構造になると考えるのが普通である。つまり、畜産業が与える環境負荷は“割合として”減るのである。仮に2.0%だとして、もはやヴィーガンが気候変動問題に与える影響はあまりにも少ない。

なぜ、環境活動家(ヴィーガン)は事実を読み違えるのか

では、なぜ、環境活動家(ヴィーガン)は事実を読み違えてしまうのだろうか。私は、①全体を俯瞰できないこと、②予測の意味がわからないこと、③権威主義的であることの3つの原因があると考える。

全体を俯瞰できない

確かに、現状、畜産業から排出される二酸化炭素排出量の割合は比較的大きい。しかし、それをヴィーガンに結びつけるのは、非常に視野が狭くはないだろうか。現在の途上国が経済発展し、今後彼らの消費構造がどのように変わっていくのか考えなければならない。

予測の意味がわからない

こちらの画像は、「Wired」が引用しているオックスフォード大学の論文の一説である。この論文によれば、2050年の畜産業が温室効果ガス全体に占める割合は、シナリオによって、最小15%、最大52%になるという。つまり、予測というのは、変数の設定次第でいくらでも結果が変わるのだ。

権威主義的である

環境活動家(ヴィーガン)の発信を見ていると、よく、○○大学が論文を出しただの、○○協会が発表しただのと、権威の話が目立つ。しかし、大事なのは論文の中身であって、いかなる手法で、いかなるデータを用いて計算したのかが重要なのだ。かの有名な「ローマクラブ」が『成長の限界』で予測したことは全く当たらなかったではないか。

まとめ

私はヴィーガンをするつもりはない。しかし、良好な環境のもとで育てられた動物を食べる努力をするのはいいことではないかと考えている。ヴィーガンを否定するつもりもない。しかし、もし、一人でもヴィーガンを増やしたいのなら、もう少し科学の話をしなくてはいけない。

私がここまで3回にわたって示したのは、任意に設定できる変数に基づいた予測ではなく、2011年の多地域間産業連関表を用いた実績値である。これらに基づいて、現在の先進国の状況と比べたら、“常識的に考えて”52%には、なりようがないのである。少なくとも、ヴィーガンで気候変動は止まらない。

参考文献