ヴィーガンで環境問題は全く解決しない

当ブログでは、2回にわたって我が国における肉食の環境負荷について考察した。具体的には、ライフサイクルアセスメントと呼ばれる経済モデルを使用し、日本人の消費行動が世界中で招く環境負荷のうち、食肉が占める割合を計算した。今回ではそれらのまとめとして、結果を振り返っていきたい。

畜産業の温室効果ガス排出量

まず初めに、畜産業のカーボンフットプリントについて分析を行った。図1に示したように、日本人が消費するあらゆる製品の生産の過程で、世界中で排出される温室効果ガスの内、食肉が占めるのはわずか2.0%であった。

図1 我が国のカーボンフットプリント(100万トン)

では、このデータを国別に見るとどうなるだろうか。下記の図2は、日本人が消費する肉の生産の過程で排出された温室効果ガスに占める割合が多い上位4カ国を見たものである。

図2 我が国の食肉のカーボンフットプリント(国別)

全体の51.1%を占める日本以下、17.4%のオーストラリア、10.3%のアメリカ、3.0%の中国と続いている。これらはスーパーマーケット等でよく見る国でもあり、みなさまの感覚とも整合的だと思われる。

畜産業の淡水の使用量

次に、上記と同じ手法を用いて、淡水の使用量について推計を行った。食肉の膨大な水の使用についてはたびたび言及されているが、データが示した答えは随分違っていることがわかった。

図3 我が国のウォーターフットプリント(100万立法メートル)

図3に示したように、日本人が消費するあらゆる製品の生産の過程で、世界中で使用される淡水の内、食肉が占めるのはわずか3.3%であった。

図4 我が国の食肉のウォーターフットプリント(国別)

今度は、温室効果ガスと同じように淡水の使用量について国別のデータを図4に示した。先進国がいずれも減らしている一方、主に後進国での使用が多くなっている。これらは、我々の食生活が途上国に影響を及ぼしていることを示している。

まとめ

今回、2つの推計を行い、畜産業が環境に及ぼす影響について考えた。結果として、一般に言われているような環境負荷はなく、むしろ、食品の生産が海外に及ぼす影響の方が問題だというのが、今回の推計の感想である。

我が国は水資源が豊富で、飲める水でトイレを流している。これだけ水が豊富なら、自分たちで食べるものくらいは自分たちで作るべきだと思われる。この鍵を握るのは菅政権の規制改革だが、果たしてうまくいくだろうか。