日本人がヴィーガンを取り入れても温室効果ガスは2%も減らない

ヴィーガン人気は高まっているが……

はじめに

巷では、畜産業の温室効果ガス排出量は凄まじく、気候変動問題のためにヴィーガンを取り入れているという人が多くいる。しかし、実際、日本人が全員ヴィーガンになったとしてどれだけの温室効果ガス排出量削減効果があるのかを数字で見たことがない。そこで、今回、わたしが計算した。

今回計算したのは、我が国の食肉のカーボンフットプリントである。これは、日本人が消費する肉の生産のために“世界中で”排出された温室効果ガスである。つまり、日本から海外に輸出される和牛の生産過程で排出される温室効果ガスは含まれていない。一方で、オーストラリアから輸入されるオージービーフの生産過程で排出される温室効果ガスは含まれている。

分析手法及びデータ

本推計で使用したモデルは、多地域間産業連関モデルと呼ばれものである。詳しい手法について知りたい方は、Ali et al., (2018)をご覧いただきたい。使用したデータはEXIOBASE 3で、2011年を対象に分析した2。推計には、CO2のほかにCH4とN2Oも含まれており、これらは一般的に言われている温室効果ガスのほとんどである。後者については、地球温暖化係数を用いて、二酸化炭素換算として計算した3

結果

図1 我が国のカーボン・フットプリント(100万トン)

図1は、我が国のカーボン・フットプリントである。全体の温室効果ガス排出量は、二酸化炭素換算で14億1300万トンである。その中で、食肉が占めるのはわずか2.0%、2800万トンに過ぎない。

結論

国連食糧農業機関(FAO)の2013年報告によると、世界の温室効果ガスの総排出量のうち、実は畜産業だけで14%に上るという4。しかし、これは発展途上国の影響を大きく受けおり、また、食肉以外も含んでいる。

肉食をやめたところで、代替するための植物性食品を作らなければいけないことを考えると、ヴィーガンによる温室効果ガス排出量削減効果は2%をゆうに下回ることになる。結局、ヴィーガンを取り入れたところで、気候変動問題への貢献はほとんどないといっていいだろう。

参考文献