日本の二酸化炭素排出量の推定と輸入に内包された二酸化炭素の分析 4

日本の輸入に内包された温室効果ガス排出量(2011年)

推計結果

表1(100万トン)

表1は、日本の二酸化炭素排出量を示している。上から、最終消費の生産の過程で排出された二酸化炭素排出量(CON)、投資された資本の生産の過程で排出された二酸化炭素排出量(INV)、輸出に内包された二酸化炭素排出量(EEE)、及び輸入に内包された二酸化炭素排出量(EEI)を示している。中央の線の下は、生産ベースの二酸化炭素排出量(PBE)、消費ベースの二酸化炭素排出量(CBE)、及び、カーボン・トレード・バランス(CTB)である。

表の通り、生産ベースの二酸化炭素排出量と消費ベースの二酸化炭素排出量の16年間の変化の方向が異なる。16年間にわたり、最終消費の生産の過程で排出された二酸化炭素排出量が主な排出源であり、一貫して上昇している。一方で、投資された資本の生産の過程で排出された二酸化炭素排出量は一貫して減少している。

貿易に関しては、輸出に内包された二酸化炭素排出量と輸入に内包された二酸化炭素排出量のどちらも増加している。輸出に内包された二酸化炭素排出量が生産ベースの二酸化炭素排出量に占める割合は、1995年の16.0%から、2011年には26.1%まで上昇している。一方、輸入に内包された二酸化炭素排出量が消費ベースの二酸化炭素排出量に占める割合は、1995年の24.8%から、2011年には28.8%まで上昇している。

両者の増加幅の差の結果として、カーボン・トレード・バランスは減少している。そのため、バーデン・シフティングの度合いは減少していると言える。しかし、これが、消費ベースの二酸化炭素排出量を政策の指標として導入する意義がないという結論にはならないと考える。なぜなら、カーボン・トレード・バランスは、生産ベースの二酸化炭素排出量と消費ベースの二酸化炭素排出量の両方を計算して初めて見えてくる指標であり、今後の動きは読めないためである。また、輸入に内包された二酸化炭素排出量の増加は、日本の二酸化炭素排出量削減を考える上で無視できないトレンドである。

輸出に内包された二酸化炭素排出量

図1(100万トン)

図1は、1995年の時点で、日本の輸入に内包された二酸化炭素排出量に占める割合が多かった上位10カ国である。16年間で、アメリカからの輸入に内包された二酸化炭素排出量は半分近く減少する一方で、中国からの輸入に内包された二酸化炭素排出量は倍以上増加していることがわかる。

また、南アフリカ共和国からの輸入に内包された二酸化炭素排出量が3分の1に減少する一方で、インドや韓国からの輸入に内包された二酸化炭素排出量が増加している。これらのトレンドを俯瞰すると、アジアが日本の汚染逃避地になっていると考えることができる。

図2(100万トン)

図2は、日本の輸入に内包された二酸化炭素排出量を、17の産業部門別に見たものである。1995年と2011年のいずれの年においても、Electricity, gas, and water部門が最も多くの排出を行っており、これは、日本への輸出品の生産に使用される石炭火力発電からの二酸化炭素排出量が非常に大きいことが原因であると考えられる。また、1995年から2011年にかけて、上位5部門は変化していないことも確認できる。

本稿は、当ブログの運営者が2021年に提出した修士論文を和訳、一部訂正を加えたものです。詳しい情報をお求めの方は“お問い合せ”よりご連絡ください。